脳で味わう

ナショナルジオグラフィックチャンネルの「脳トリック2」という番組で、食欲について面白い実験がされていたので、その一部を紹介したいと思います。

世の中は食べ物の情報であふれています。
ブログ、料理番組、有名人のコメントなど・・・。日頃、私たちはどのように食べるものを選んでいるのでしょう?実は、様々な感覚が働いているため、食べ物そのもので選んでいるわけではないのです。どれを食べるか選ぶときに基準となるのは、体が求めるものではありません。脳が惹きつけられたものです。つまり、何を食べるのか、決めているのは、わたしたちの脳。

食品産業は、多くの点でショーだと言えます。観客は、わたしたちの脳。食品を売るには、食べたいと思わせるテクニックが必要です。そのひとつが着色料。着色されるには理由があります。スーパーなどで売られている食品が、鮮やかできれいなのは、消費者を惹きつけるためです。

私たちは食品を食べるずっと前から、目で味わっています。脳が視覚からの情報を感じ取っているためです。食品の色が鮮やかで派手であるほど、脳は食欲を刺激されます。さらに、多くの場合、箱の中身よりパッケージで食品を選んでいます。

すべての色の中で、赤と黄色が最も食欲を刺激すると言われています。食品の見た目は、実際にどのような味がするかより大切です。違うメーカーの製品でもまったく同じように作られ、まったく同じような味がすることがあります。その場合、大切なのはパッケージでしょう。

目隠しで視覚情報を遮断し、さらに鼻栓で嗅覚情報を遮断すると、味が分からなくなります。食のエキスパートであるフードライター、フードブロガーたち3名が挑戦しました。シナモンを口にしたら、カレー粉、コショウ、イチゴ味のパウダーなどの答えが・・・・。

バーベキューソースは、イチゴ味のピューレ、マヨネーズ。ゆで卵を食べさせたら、豆腐、硬めのゼリー、マシュマロなんていう回答。ゼリーは、クランベリーソース、プリン。ペペロニの場合は、加熱しすぎた野菜、ベーコン、スパイシーなフルーツ???

味覚と嗅覚は密接なつながりがあり、両方同時に働きます。そのため、鼻を摘まんで食べると、どんなに香りが強い食べ物でもまったく分かりません。目隠し、鼻栓、協力者があれば、家で試すことも可能です。ゆで卵とマシュマロを間違えても決して驚くことではありません。

テーブルクロス、イス、スプーン・フォーク、ナプキン、どれが食べ物の味をおいしくさせますか?答えは、スプーンやフォーク。それらの素材は味に大きく影響します。白いプラスチックのスプーンで食べると、金属のスプーンで食べたときより高級な味に感じるそうです。

食事をするときは、すべての感覚がフル活動しているんですね!つまり口で食べているのではなく、脳で食べているということです。

当社の見た目と香りと味の刺激を測定する技術に、脳の情報処理の仕組みを加えて食欲を測るシステム・・・近い将来、完成させたいものです。